論理削除は便利ですが、DBのユニーク制約と両立させるには一工夫必要です。
今回はLaravelで論理削除とユニーク制約を両立させる方法について解説します。
論理削除してもDBのユニーク制約が機能してしまう!
Laravelで論理削除を実装する際は、deleted_atカラムを利用します。
deleted_atカラムに日付が入っていればそのレコードは削除されたとみなし、NULLの場合は存在しているとみなします。
しかし、論理削除をしても実際にはレコードがテーブルに存在しているため、同一の値を設定するとユニーク制約に引っかかります。
例を示します。
emailカラムがユニークであるusersテーブルが存在するとします。
2014_10_12_000000_create_users_table.php
<?php use Illuminate\Database\Migrations\Migration; use Illuminate\Database\Schema\Blueprint; use Illuminate\Support\Facades\Schema; class CreateUsersTable extends Migration { public function up() { Schema::create('users', function (Blueprint $table) { $table->bigIncrements('id'); $table->string('name'); $table->string('email')->unique(); $table->timestamp('email_verified_at')->nullable(); $table->string('password'); $table->rememberToken(); $table->timestamps(); // 論理削除 $table->softDeletes(); }); } /** * Reverse the migrations. * * @return void */ public function down() { Schema::dropIfExists('users'); } }
User.phpにuse SoftDeletes;
を記載して、論理削除機能を有効にします。
User.php
<?php
namespace App;
use Illuminate\Contracts\Auth\MustVerifyEmail;
use Illuminate\Database\Eloquent\SoftDeletes;
use Illuminate\Foundation\Auth\User as Authenticatable;
use Illuminate\Notifications\Notifiable;
class User extends Authenticatable
{
use Notifiable;
use SoftDeletes;
/**
* The attributes that are mass assignable.
*
* @var array
*/
protected $fillable = [
'name', 'email', 'password',
];
/**
* The attributes that should be hidden for arrays.
*
* @var array
*/
protected $hidden = [
'password', 'remember_token',
];
/**
* The attributes that should be cast to native types.
*
* @var array
*/
protected $casts = [
'email_verified_at' => 'datetime',
];
}
これをマイグレーションして、usersテーブルを確認してみます。
usersテーブルのカラム設定
usersテーブルにはレコードが一件存在します。
このレコードを論理削除して再度同じメールアドレスでユーザーを作成してみます。
論理削除する場合は、deleted_atカラムに日付を入力します。
UPDATE users SET deleted_at=NOW() WHERE id=1;
論理削除した状態でユーザーを作成すると、ユニーク制約に引っかかりエラーが発生します。
INSERT INTO users VALUES(2,'tanake','tanaka@gmail.com',NULL,SHA2('password',256),NULL,NOW(),NOW(),NULL);
論理削除とユニーク制約を共存させる方法
論理削除とユニーク制約を共存させるには、複合ユニーク制約を利用します。
複合ユニーク制約とは、複数のカラムの組み合わせに対してユニーク制約を設定することです。
複合ユニーク制約の「NULLの場合ユニーク制約が無効になる」という特徴を利用して論理削除とユニーク制約を両立させることが可能です。
論理削除とユニーク制約を両立させる流れを説明します。
1. 「exist」というカラムを作成
「exist」というカラムを新たに用意して、生成列とします。
生成列の定義を以下のようにします。
deleted_atカラムがNULLのとき(レコードが存在している場合)は、existカラムを1にする。
deleted_atカラムがNULLではないとき(レコードが論理削除されている場合)は、existカラムをNULLにする。
2. existカラムを含む複合ユニーク制約を設定する
今回はemailにユニーク制約を設定していたため、emailとexistの複合ユニーク制約とします。
これでdeleted_atがNULLのときはexistが1になるのでemailのユニーク制約が機能します。
レコードが論理削除された場合はdeleted_atに日付がはいるため、existにNULLが設定されユニーク制約が無効になります。
ユニーク制約が無効になるため、再度同じメールアドレスを登録することが可能です。
MySQLの場合はStoreAsを利用
MySQLの場合は、マイグレーションファイルでStoreAsを利用することで生成列(Generated Columns)を定義できます。
2014_10_12_000000_create_users_table.php
<?php use Illuminate\Database\Migrations\Migration; use Illuminate\Database\Schema\Blueprint; use Illuminate\Support\Facades\Schema; class CreateUsersTable extends Migration { public function up() { Schema::create('users', function (Blueprint $table) { $table->bigIncrements('id'); $table->string('name'); $table->string('email'); $table->timestamp('email_verified_at')->nullable(); $table->string('password'); $table->rememberToken(); $table->timestamps(); // 論理削除 $table->softDeletes(); // 論理削除されていれば NULL, されていなければ 1 になる生成列を定義 $table->boolean('exist')->nullable()->storedAs('case when deleted_at is null then 1 else null end'); // 複合ユニーク制約 $table->unique(['email', 'exist']); }); } /** * Reverse the migrations. * * @return void */ public function down() { Schema::dropIfExists('users'); } }
マイグレーションして、テーブルの状態を確認します。
それでは論理削除とユニーク制約が両立しているか確認してみます。
すでに存在するメールアドレスを再度インサートしてみると、ユニーク制約によりエラーになります。
existカラムの値が1になっていることに注目してくだい。
論理削除後、同一のメールアドレスをインサートしてみます。
無事同一のメールアドレス「tanaka@gmail.com」をインサートすることができました。
id=1のレコードは論理削除されているため、existカラムが自動的にNULLになります。
そのため複合ユニーク制約が無効となり、emailカラムに同一の値を設定することが可能になっています。
MariaDBの場合は素のSQLを書く
MariaDBはStoreAsを利用することができないので、素のSQLを書く必要があります。
2014_10_12_000000_create_users_table.php
<?php use Illuminate\Database\Migrations\Migration; use Illuminate\Database\Schema\Blueprint; use Illuminate\Support\Facades\Schema; class CreateUsersTable extends Migration { public function up() { DB::statement(' create table users ( id bigint unsigned not null auto_increment primary key, name varchar(255) not null, email varchar(255) not null, email_verified_at timestamp null, password varchar(255) not null, remember_token varchar(100) null, created_at timestamp null, updated_at timestamp null, deleted_at timestamp null, exist tinyint(1) as (case when deleted_at is null then 1 else null end) stored, unique key (email, exist) ) default character set utf8 collate "utf8_general_ci"; '); } /** * Reverse the migrations. * * @return void */ public function down() { Schema::dropIfExists('users'); } }
やっていることはMySQLと同じです。
これでMySQLと同様に論理削除とユニーク制約を両立させることができます。
今回の記事で分かりにくいところや、他にも解説して欲しい内容があれば、是非ともコメント欄やお問い合わせからメッセージをください!
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